文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/03/12(火)

次男発熱のため、今日も家で看病しながら仕事。今年出す本のブックデザインの方が決まったと聞く。高校生の頃に図書館で出会って以来、素敵な人だなと思っていた方なので、驚いたし嬉しかった。嬉しかったけれど、浮かれていても本はできない。わたしが一文字一文字書き重ねないと本はできない。プレッシャーではなく事実。

目の前のことをただ愚直にやるだけです、と、今日書いたインタビュー記事の中で女の子が喋っていた。そこに自分の感情はいらないと。本当にそうだな、と思う。授けられた仕事を、天から受け取ったものだと思い、ひたむきにやるだけ。

それ以外にできることがあるだろうか? いや、ない。

2019/03/11(月)

「戦争と五人の女」の序章を改稿する。途中で羊羹とクリームパンとバナナを食べた。甘いものが欲しくてたまらなくなる。そのあとはインタビュー記事を一本仕上げた。

次男が発熱したので、看病しながらの1日だった。とは言え、となりのトトロをずっと見せていただけだけど。電話越しで編集者が「素晴らしい脚本だよね、トトロ」と言う。そうだね、とわたしも返した。

サツキとメイはシンプルだ。命をきれいに燃やしてる感じがする。わたしもやるべきことをやろう。目の前のことをただまじめにやりながら生きたい。

最近なるべくモノを買わないようにしているのだが、買わないと決めると買わないでいけるものだ(本は別。今日は3冊買った)。

いまあるものだけでどうにかするしかない、というのは、実に心安らかなことだ。シンプルだしわかりやすい。完全燃焼って気持ちがいい。命をそこまで燃やすことができたらいい。

2019/03/10(日)

子供というのは早起きなので、子供が生まれてから寝坊をすることができなくなった。せめて土日くらいはと思うのだが、仮面ライダーやらゲゲゲの鬼太郎やらアニメを見るというので、上の子が起きると下の子も起き、自分を階下に連れていけという。まだひとりで階段を降りれないからだ。それで朝ごはんを作り、食べ、食べさせ、着替え、着替えさせなどし、日曜の朝は長男のプールの付き添い。90分、待合室でメールを返したり文章を書くなどしていた。
帰って昼ごはんを軽く食べ、子供を夫に任せてマガザンキョウトへ取材をしに行く。今日はkumagusukuの矢津さんと、只本屋の山田さん、そしてマガザンの岩崎くんの鼎談だった。敬子さんはいつも差し入れを持ってきてくれて優しい。今日はアルフォートヤオイソのフルーツサンドを食べさせてくれた。
終わってから、原稿の続きを書かねばとチタチタ喫茶へ行く。静かな店内にキーボードを叩く音が響き、少し申し訳ない気持ちになる。わたしのPCがタイプライターだったらいいのに。そっちのほうがいい音な気がする。なんとなく。コーヒーがおいしかった。
その後、バスに乗って帰宅。夕飯はおでんだった。

なんだかずっと忙しい。エネルギーが目減りしている。だけど、この金土日の3日間でいろんなことが進んだ。本当によかった。

今日は早く寝て明日は小説を書こう。そのためにがんばったんだから。

2019/03/09(土)

プールで泳いだ。水の中に入って泳いでいる時間は、30分くらいしかない。すぐバテるからだ。それで週1しか通っていないのだから、意味あるのかな?と思わないでもないが、今日体重計に乗ってみたら体重が2キロ増えていた。この1年で5キロ以上体重が落ちていて、「やせすぎじゃない?」と心配されることもよくあった。なかなか戻らなかったので嬉しい。週に1度、たとえ30分だけでも、積み重ねていけば何かになるんだなと思う。そういうものなんだろう。毎日やるとか、ずっと続けるとか、それがたとえ些細なことでも、決してばかにできない。

2019/03/08(金)

きのうは保育園でクラス会があった。次男の担任の保育士さんは、ふたりとも20代。若いからなのか、クラス会でよく甘いものを飲んでいる。午後の紅茶のミルクティーとか、小岩井の苺ミルクとか。きのうはお菓子も用意したのだが、ぱくぱく食べていて可愛かった。若いって、ハイカロリーだなって思う。

わたしも20代のころはハイカロリーを摂取していた。食べ物も、人とのコミュニケーションも。毎晩のように飲み歩き、飲みすぎて眼鏡をなくして電車は乗り過ごし、タクシーで1万近くかけて家に帰る。そして、そこで話したことは覚えていない。だいたいは意味のない会話だ。甘くて中身のない綿菓子のような、ぎとぎとに粗悪な油で揚げたフライドポテトのような夜。次の日に、必ず後悔する。

今思えば、そんな飲み方するくらいなら、そんな夜の過ごし方をするくらいなら、定食屋で良い感じの夕飯食べて、とっとと家に帰って、お風呂に入って、好きなだけハーゲンダッツ食べながらDVDでも観ながら眠ればいいのに、と思う。そっちのほうがよっぽど自分にやさしい。だけど、その頃のわたしには、定食屋と食後のハーゲンダッツ2.3個のカロリーだけじゃ足りなかった。記憶をなくすまで飲んで、ばかみたいに笑って熱く語って、すっからかんになるまでお金を使わねばならなかった。

あのエネルギーはなんなんだろう?

自分をこれでもかと消費するようなやり方は。

きっとわたしは寂しかったのだと思う。だからひとりになりたくなかったし、酔っ払っていたかった。情けなくて、しかたのない女の子だった。

保育園の先生は、わたしたち父母のことを「仕事もしながら子供も育ててすごいです」と言っていたけど、かつてのわたしよりずっとあなたたちのほうがすごい。と思うんだけどな。彼女たちも、自分をこれでもかと消費するような夜があるんだろうか。

2019/03/07(木)

編集者と電話をする。
昨日から情緒不安定なので、「本当に自分が不安定で困る」という話をわたしがしたら、彼は「何度も言うようだけど、不安定だから君は書けているんだよ。僕はずっと安定しているから書けない」と言ったので、安定して笑っている彼の顔を思い出し、なんだか笑った。雑談してくれるのはありがたい。

この1週間はいろんなことがあって、心がいろんな動き方をした。凹んだり、傷ついたり、かさついたりもした。でも、少しずつ回復している。
応援して、信じて、支えてくれる人がいるからだ。それを自覚していないうちは、わたしはどうしようもないアマチュアだと思う。わたしはプロでいたい。プロである努力をしていたい。

今日はそんなことを思った。明日からまたがんばろう。

2019/03/06(水)

今日はだめだ。ときどき正体のわからない不安感に呑み込まれそうになるけれど、今日がそれだった。春が来るのがこわい。夏が来るのも秋も冬も全部こわい。なぜなんだろう。わからない。寝て起きたらましになっていると信じて、とにかく寝る。だめだなぁ。こんな自分は、全然好きじゃない。