文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018年2月23日(金)

ずっと家で書いていた。昨日話した大学生の男の子は、本を読むと「こういう展開になってほしい」とよく思うらしい。わたしはそういうことを考えたことがないなと思う。目の前の展開は自分の思い通りにはならないもので、すでにそこにあるもので、自分の希望…

2018年2月22日(木)

午前に家で改稿をして、午後、二日ぶりに宿に来た。4章の改稿の〆切が近いので自宅にこもっていたのだ。到着してすぐ、敬子さん、『月刊京都』という雑誌のライターの佐藤さん、それから伊勢丹の鈴木さんが宿に来ては出ていった。ひとが集まり出ていき、空気…

2018年2月21日(水)

改稿の〆切が近いので、宿には行かず、朝から1日家で初稿と向き合う。一周目が終わり二周目を読み始めて、さらに改稿をする。ぐるぐると、小説というものの周りをまわりながらぺたぺたしているみたいだ。手を加えていくうちに、なんとなく前よりも視界がこま…

2018年2月20日(火)

宿には行かず、打ち合わせや所用の1日。調べもののため書店に行った。たくさんの本がある、と当たり前のことだが思う。たくさんの言葉。わたしが書こうとしているのは、そこにない言葉なのかな。改稿をしていると、足りないところばかり目につく。本当に、手…

2018年2月19日(月)

宿につくと、こたつに花が活けられていた。小嶌さんが買ってきてくれたらしい。その隣には「土門さんへ 例のブツです」と書かれた紙袋が置いてある。送り主はけいこさんで、開けると魔法瓶とお茶が入っていた。わたしが寒がっているので、温かいお茶が飲める…

2018年2月18日(日)

日曜なので宿には行かず、午前中近所の喫茶店で改稿。午後は長男と自転車に乗って買い物に出かけた。鴨川の亀石を飛びながら、長男がこっちを何度か振り返って笑った。

2018年2月17日(土)

週末の休みは子供と一緒にいようと思い、宿では基本土日は不在にしている。今日は買うものがあるのでショッピングモールに行こうと思っていたのに、気が乗らなくて結局ずっと家にいた。何もしたくなくて、時間が進むほど気分が塞ぐ。本当に何もしないでいる…

2018年2月16日(金)

「自分の作品を自分のものだと思うのって、傲慢だなって思うんです。わたしは、この世にあるかわいいものやきれいなものに、触らせてもらえているだけだと思うから。でも、この素材や形や色をかわいいって思えるのって、みんながみんなできることじゃない。…

2018年2月15日(木)

今日は宿には行かず、取材のため京都精華大学の卒展へ行ってきた。三名の学生に話を聞く。「誰もやったことのない新しいことをやれると思うとわくわくするんです」「自分は自分以外のすべてのものに影響を受けているから」「わたし自身が気持ちよく描かない…

2018年2月14日(水)

宿に滞在するようになってから、いくつか知ったことがある。そのうちのひとつは、「ここは、何ですか?」と言いながら宿に入ってくるひとがいるということだ。ひとの好奇心というのは大人になっても衰えないものなのだな、と驚く。「ここは、何ですか?」そ…

2018年2月13日(火)

自転車で宿に向かう途中、ひとりで笑いながら話しているひととすれ違う。スーツを着ている彼は、受話器を持たずにイヤホンか何かを通じて誰かと電話をしているらしい。耳から垂れるコードと話の内容から、ひとりごとを言っているのではなく、誰かと話してい…

2018年2月12日(月)

気づけば今日は文鳥社の創立記念日なのだった。文鳥社宣言は昨年のこの日にアップされている。2月12日。まるで2羽の鳥の間に1冊の本が立っているみたいだと、自分が喜んでいたのを覚えている。きっと柳下さんは覚えていないだろう。この日が仏滅で、「仏滅と…

『100年後あなたもわたしもいない日に』取扱店舗さま一覧

文鳥社の最初の1冊、『100年後あなたもわたしもいない日に』は下記ショップにてお取り扱いいただいております。 (在庫状況などは、各店舗によって異なりますから、よっこらせと足を延ばすなら、一度お問い合わせいただいてもいいですね) 大阪======…

2018年2月11日(日)

宿には行かず、息子たちと日曜を過ごす。久しぶりに3人で散歩をした。長男ははしゃいで「亀石をとぶ」と言って鴨川の東西を2往復した。柳下さんは昨日宿に泊まったらしい。宿の壁に、昨日敬子さんが作ってくれたポスターが貼られている写真を柳下さんがmesse…

2018年2月10日(土)

3日ぶりに行った宿は3日前に出たときのままで、わたしはやっぱりアラジンのストーブの点け方がわからない。でも、電気やエアコンの点け方はわかった。近所の紫半というだしまき屋さんで買ったお弁当をこたつに広げてひとりで食べる。宿では音楽が鳴っていな…

2018年2月6日(火)

朝、宿に着くとまだ誰もいなくて、iPhoneを見ると岩崎くんから1時間ほど遅れるむね連絡が来ていた。手帳にメモしておいた、教えてもらったばかりのやり方で施錠を空けて中に入る。とても寒い。電気をつける場所がわからなくて、自然光の中でごそごそと準備す…

2018年2月5日(月)

朝、マガザンの岩崎くんが家の前まで迎えに来てくれた。グレーのアウディに、荷物を運び込む。こたつ、本が詰まった段ボール、電気傘。それからノートパソコンが入ったリュックサック。それらを車の後ろに詰め込んで、助手席のドアを開ける。そのとき一瞬、…

小説を書いていることについて

昨年の1月から小説を書いている。三日前に、その初稿を書き上げた。だから、初稿をあげるまでに1年と1ヶ月くらいかかったことになる。わたしはこれまでに三つの小説を書いているのだけど、それぞれ原稿用紙100枚程度で、それは新人賞に応募するのに必要な分…

『100年後あなたもわたしもいない日に』 ご購入はこちらです

【ご購入について】文鳥社1冊目の本『100年後あなたもわたしもいない日に』は、こちらからご購入いただけます。https://bunchosha.theshop.jp/ (写真はイメージです) ---------------------------------------------------------『100年後あなたもわたしも…

紙の上に生息している小さな生き物

文鳥社の初めての本、『100年後あなたもわたしもいない日に』ができて、1ヶ月が経った。初刷分はすべてわたしの手元からなくなり、今は二刷目を届けている。奥付を見ると、それぞれの年月日。それから、この本に携わった人々の氏名。最後にはこういった一文…

燃やしきってしまえばすっきり気持ちがいいのです

柳下さんと出会ってすぐ、「これ、僕が作ったんです」と本をもらった(その頃はまだ敬語で話していた)。その本は『きっといい日になりますように』という寺田マユミさんの本で、線画で描かれた絵に、ときどき手書きで書かれた文字が添えられている。描かれ…

文鳥が歌を学ぶ生き物だから

わたしたちの出版社を「文鳥社」と名付けたのは、文鳥が歌を学ぶ生き物だから。 「文鳥のオスは、歌をうたってメスに求愛する。その歌が複雑であれば複雑であるほど、メスを惹きつけるそうだ。時折、歌が複雑になりすぎるオスがいるのだという。その歌は、も…

この空白を「未来」と呼ぶならば

会社にしようと決めてから、いろいろな書類を用意した。 申請書類のほかにも、住民票とか印鑑登録証明証とか戸籍謄本とかいろいろ必要だったので、全部、一個一個揃えていった。 わたしはそういう、書類を揃えるということがとても苦手だ。 法務局の方に懇切…

本は僕らより長生きするからな

文鳥社を立ち上げてすぐ、荒神橋のすぐそばの郵便局で、ゆうちょ銀行の口座を作った。 局員さんが、真新しい通帳を持って「文鳥社様」と呼ぶ。 窓口に向かいながら、この感じは何だったけなぁと思う。 それで、息子を産んだときに似ていると思った。生まれた…

ただいま(おかえり)

一昨日、二条城の近くのゲストハウス、マガザンにてトークイベントを行った。実に僕らの初舞台。これで晴れて、公だ。大いに自棄ってわけじゃあないよ。まったくもって、うれしいね。終わってから、客席にいてくれた馴染みに、「どうだった?」と聞くと、「…

マガザン×文鳥社「2018 本特集」公開編集会議を終えて

二条城の近くに、マガザンキョウトという場所がある。 「泊まれる雑誌」というコンセプトで、特集ごとに空間が変わっていくホテルだ。 立ち上げたのは岩崎達也くんという、わたしと同い年の青年で、出会ったときには会社員をしながら雑貨屋さんをやっていた…

文鳥社宣言

言葉はいつも、こだまのようだ。それは、口から出たものか指先から出たものかに依らず、発すれば、いつまでもいつまでも反射を繰り返して、僕らの想像の及ばないところまで、遠く遠く届いていく。そして、長かったり短かったりの時を経て、やがてまた、自分…

文鳥社とわたし

「文鳥社」という出版レーベルを立ち上げた。立ち上げたと言っても、「やろう」と決めただけで、まだほとんど何もしていない。でもともかく、出版をすることを決め、「文鳥社」という名前をつけた。そのことがわたしにはすごく大きな事件で、自分の人生に「…