文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018年2月16日(金)

「自分の作品を自分のものだと思うのって、傲慢だなって思うんです。わたしは、この世にあるかわいいものやきれいなものに、触らせてもらえているだけだと思うから。
でも、この素材や形や色をかわいいって思えるのって、みんながみんなできることじゃない。だからそういう目を持たせてもらえたことに感謝しています」

今日も宿には滞在せず、京都精華大学卒展へ。
取材2日目。3名に話を聞く。

「負けず嫌いなんです。尊敬している友達にも、自分にも、負けたくない。できることは全部したい」

「どこにいるかより、何をするかだから。この大学に来てよかったかどうかなんて考えるのは、ここで頑張ってきた自分に失礼だと思う」

取材が終わって、やはり今日も熱に当てられたかのようにふらつきながら、学内のファミリーマートへ行く。「甘いものが食べたいですね」と、同じく熱に当てられぼんやりしている敬子さんに言うとココアをおごってくれた。敬子さんはチョコプリンを食べた。

数えてみたらちょうど今年で大学を出て10年だった。
10年前のわたしは、今のわたしを見たらどう言うだろう?
「体力落ちたね」は間違いなく言われるだろうな、と思う。


敬子さんと「一緒に何かやりましょうか」と話した。敬子さんが描いて、わたしが書いて。
「交換日記みたいな」
「いいですね」
「いま一緒に卒制の冊子を作ってるのにね」
「忙しい忙しい言ってるのにね」
「逃避ですかね」
「ですね。でもわくわくしますね」
編集者に「また君はコンテンツを増やして」と怒られるかなあと思いながら、何します? と無責任に笑いながら話した。なんだか、ここの学生のひとりになったような気持ちだった。