文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/03/30(金)

小説の原稿を最後まで書ききってみて、それを編集者に読んでもらっているときがいちばん緊張する。

「もう少しジャンプできる気がするな」
電話の向こうで編集者が言った。
ドラマツルギーがまだ十分に機能していないとか、読者が置いてきぼりになる可能性があるとか、共感性をより高められるものが必要とか、
ああ本当にその通りだなあと思う。

それでも荒削りにしても、きのうにはなかったものがここにあって、明日はここから始めることができる。小説は1日にしてならず、だ。何度も何度も手を入れ育てるものだから。
そして今ものすごくぐったりしているのは、土台づくりをしたからかもしれない。多分もっともエネルギーを使うところ。

ああ、小説を立ち上げるって、すごくすごく体力がいるものなのだった。
初稿をあげた長編でもあんなに苦労したのに、わたしはどうしてすぐに忘れるのだろう。

もう寝よう。
明日はもっと濃やかにできるように。