文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/04/24(火)

前職の先輩からメッセージをいただいた。会社ではほとんどお話をしたことのなかった方だ。彼女は『100年後あなたもわたしもいない日に』を読んでくださったという。長文の感想を、わたしは何度も何度も読んだ。

「蘭ちゃんにとっての言葉が、世界と蘭ちゃん自身をつなぎとめるものであるということが、痛いくらいに伝わってきました」



書くことから逃げたくなるときはたくさんある。
遅筆で、〆切を守れなくて、ストレスに弱くて、小さなことですぐに書けなくなる自分。書けなくなるとますます不安定になり、まわりに心配をかける。
こんなに人に迷惑をかけたり、苦しむくらいなら、書かないほうがいいんじゃないだろうかと思うときもある。
でももし書くことをやめたら、自分が自分じゃなくなるような気がして、わたしは書かなくなった自分を想像することができない。そこから逃げたら、わたしではなくなるような気がする。「書け」と言われるのは「生きろ」と言われるのと似ている。


編集者は、
「もし君が書くことをやめても、君は僕の友達だよ」
と言った。
わたしはその言葉が泣きたくなるほど嬉しかった。
そして不思議なことに「書かねば」とさらに強く思った。
多分、書くことをやめたら、わたしが彼ともう友達でいられなくなるような気がしたからだと思う。



「蘭ちゃんにとっての言葉が、世界と蘭ちゃん自身をつなぎとめるものであるということが、痛いくらいに伝わってきました」