文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/06/01(金)

1歳の次男が今日もまだ熱が下がっていなかったので、保育園を休ませる。
長男も次男も鼻水がたまるとすぐに中耳炎になって熱を出してしまう。 耳鼻科で鼻を吸われるととても嫌がり大きな声で泣く。短い足が、お医者さんをげしげし蹴ろうとする。
お医者さんは、近所で評判の男性医師だ。早い、うまい、優しい。今日はそのお医者さんから香水のにおいがした。

次男を子守しながら、小説の続きを書いた。四人目の女の章。編集者には、今日送ると言っていた。
この女がいちばん書かねばならないことがある。最年長だからかもしれない。見直しだ、と思い、見直しているうちに「これも書かねば」と思って三箇所ほど書き加えた。
今はとにかく出し尽くそう。言い回しの調整や全体との兼ね合いはまたあとだ。
出し尽くし、編集者に送ると急に体が重たくなった。
次男はハイチェアに座って、NHKの番組をおとなしく見ている。猫がテレビに映り、次男が指さして「わうわ」と言った。「にゃあにゃだよ」と教えるが、次男は何も言わずじっとテレビを観ていた。

耳鼻科の待合室で、吉田篤弘の『京都で考えた』を読んだ。 小説を書くとき、何か深い問いを持ちながら書いていて、その答えは小説全体に溶け渡っている、というような内容だった。 わたしは書きながら考えている。この小説のテーマは「女」だ。女ってなんだろう。女ってどうなっているんだろう。女はどこへ向かうのだろう。そう考えながら書いている。 五人の女を描いたこの一文字一文字に、その様々な答えが、溶け渡っていたらいい。本当に、そう思う。