2018/06/06(水)
長男が朝ごはんを食べないと言う。なんだか気持ち悪いと。
きらいなものがお皿に乗っているとき、彼はそんなふうに言うことがある。今回も仮病だと思い、わたしは内心うんざりして食卓から下げた。そして、のろのろと動く彼に早く着替えなさいと叱った。
そうしたら昼前に小学校から電話がかかってきて、長男が熱を出し保健室で寝ていると言う。
迎えに行くと、保健室の先生に長男が抱っこされ、トイレに行くところだった。おなかがいたい、と彼は泣いていた。先生はとても優しく「痛いね」「我慢してたんやね」と、便座にうずくまる彼の背中をなでていた。
わたしはそれを見て、朝の自分の仕打ちを思い出していたたまれなくなった。ぼんやり男子トイレに突っ立つだけで何もできない。小さなスリッパから、わたしの足が半分はみ出ていた。
校門を出ると雨が降っていた。長男はおなかがいたい、歩けないと言って泣く。わたしは彼をおんぶし、近くの小児科まで歩いた。彼はとても重たかった。
長男は点滴を受けた。
どうやら熱中症のようだと言われた。ゆうべもきらいなものが多いと言って、ほとんどごはんを食べてなかったのだ。水分と塩分が足りなかったのかもしれない。長男はベッドに横たわり、点滴の袋を見ていた。徐々に意識がしっかりして、黒目が大きくなっていく。下痢をしてしまうのでおむつを当ててもらっていたのだが、その姿がかわいいと、看護師さんが笑った。
「今朝は怒ってごめんね。具合がわるいのに信じなくて」
帰り道にそう言うと、長男は
「だいじょうぶ。ぼくがわるいから」
と言った。
家に帰り、ベッドに寝かせた。
彼はたくさん眠った。
わたしは一階で小説を書いた。
上で、時折彼が目を覚ましわたしを呼ぶ。
「ママー?」
「なにー?」
「そこにいるー?」
「いるよー」
「よかったー」
そしてまた眠る。
わたしはまた小説を書く。