文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/06/09(土)

腰が痛むので二条にある接骨院へ自転車で向かったが、外で並ぶほどの盛況ぶりで、すぐに諦めてその近くの喫茶チロルへ行く。コーヒーを飲みながら、若松英輔の『生きていくうえで、かけがえのないこと』を読み終わる。とてもとても良い本だった。読み終わるのが惜しいほどに。
コーヒーは半分しか飲めなかった。胃が痛い。最近からだのあちこちが痛む。チロルのコーヒーは苦くて少し酸っぱくて濃い。350円。誰かがコーヒーのことを「傷つける飲み物」と言っていた。そうだな、と思う。それでもわたしはこのお茶が好きなのだ。

午後、夫がギターの練習から帰ってくるのと入れ違いに、子供を任せてまた違う喫茶店へ行った。そこの主人が台湾のあるミュージシャンのライブを観たのだがすごくよかったと言っていた。落日飛車という名前らしい。帰ったら聴こうと思う。

原稿を書いていたら、本友達の佐々木さんが来た。借りていた本を返し、新たに貸す。そして1時間ほど話をした。本の話、共通の知人の話。
佐々木さんがそわそわとするので何かなと思っていたら「書いていたんでしょう?」と言う。「あまり時間を奪ってはいけないと思って」

2章をまずは、最後まで書いた。明日はまた初めから戻って肉付けをしていく。
一度目に作った轍を、さらに太く強くしていかないと。

ああ、もう6月も3分の1をすぎてしまった。
書けるのだろうか、の問いには、書くしかない、と答える。それを自分の中でずっと繰り返している。

今日は短歌をふたつ詠んだ。そのとても小さく些細な、けれど完結された世界が、自分を落ち着かせてくれる。まるで、アジアの露店で売っているスノードームみたいだ。初夏のスノードーム。

茶店の窓から入ってくる西日の中でこれを書いている。そろそろ帰らないといけない。