文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/06/12(火)

家で朝から書いていて、昼頃ふと外に出た。自転車に乗り、走る。走りながら、急激に「寂しい」と思った。この寂しさを他人で埋めようとすると、埋まるわけがないからもっと寂しい。きっとそれは自分でしか埋められないし、そもそも埋まらないのかもしれない。

自分が自我を持っていることが苦しく、それを誰かに明け渡したくなる。でもそんな「誰か」はいない。
いるとしたらそれは宗教としての「神様」のようなものだと思うのだけど、小説の神様は自我を明け渡すことをよしとしない。もっと研ぎ澄ませと言っているような気がする。わたしは「わかりました」と言うしかない。ハンドルを握る手がびりびりする。帰ってすぐに書く。そしてまた止まる。簡単に昼ごはんを食べ、また書いた。少し居眠りをして、また書いた。

強く美しくありたいのに、わたしは弱くてみっともない。
だから書く。小説という大きなものに触れたくて書く。