文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/06/18(月)

朝8時、みしみしっという音がして、そのあとぐらぐらと床が揺れた。
地震だ」と思い、子供たちをダイニングテーブルの下に引っ張り込む。
長男は表情をこわばらせ、次男はうわーんと火がついたように泣き出した。
大丈夫大丈夫、とわたしは彼らの頭を抱えて繰り返しつぶやく。

地震がおさまって長男は小学校に、次男は保育園へ行ったが、小学校は臨時休校になったらしく、自転車でむかえに行った。体育館で入り口をずっと睨んでいたらしい長男が、すぐにわたしを見つけて「ママ!」と叫ぶ。不安だったのだろう。すぐに荷物をまとめてわたしの腰にしがみついてきた。
保健室の先生が「よかった、お母さん、今日東京だからいないんだって泣きそうな顔をしていたんですよ」と言った。「東京?」わたしが尋ねると、「ママ、きょう遠くに行くと思ってたから」と言う。「今日はどこにも行かないよ」と言うと、安心したようにうなずいた。

家にいると不安らしい。余震が起きると泣きそうな顔になる。
きのうの打ち合わせで映画の話になって、どんな映画が小学生の男の子はおもしろいですかね? と聞いたら、打ち合わせの相手が『ガーディアンズオブギャラクシー』がいいと思うと言ったので、TSUTAYAでさっそく借りたのだった。それをみたらどうかと言うと頷くので、みせたら夢中になってみていた。
「おもしろい?」「めっちゃおもしろい」「よかった」
すすめてくれたひとに、お礼を言おう。そう思いながら小説を書いた。ときどき長男がこちらを向く。みていないとわかるとしょげるので、ときどき一緒にみては感想を言った。
「失礼なことを言う人やなあ」「かわいい子」「勇気のある行動やな」

映画が終わるとまた不安そうな顔になるので、夕方、次男を迎えに行く前に、ふたりで郵便局に行った。

自転車に乗り、鴨川の橋を渡る。
「ねえ、空がすごくきれいじゃない?」
と言って自転車を止めたら、長男が「ほんまやー」と言った。
「きょうもきれいなままで、ほんとによかった」
後ろからそういう声が聞こえた。
ほんとにね、とわたしは思い、「ほんとだね」と言って、またペダルを踏んだ。