文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/08/02(木)

打ち合わせの相手の方と、本の話になった。
デザイナーの彼は、風景描写を読むときに、頭のなかでがち、がち、と、世界を組み立てるらしい。だから、読むのに時間がかかると。
わたしはそこまで具体的に思い浮かべない。ぼんやりと思い出す子供の記憶みたいな。それくらいのピントの甘さ。

帰りになんとなく本屋さんへ寄る。
ずっと欲しかった阿久津隆さんの「読書の日記」、ソウル・ライターの写真集「WOMEN」を買う。

本屋さんを出ると、ばーっと雨が降り始めた。空は青い。通り雨だ。
「中でもう少し待たせてもらっていいですか」
と聞いたら、レジを打ってくれた女性の店員さんがうなずく。
店内には、わたしと店員さんのふたりだけ。

「もしお急ぎでしたら傘を使ってください。差し上げます」
なかなかやまない雨に、彼女はそう言って透明の傘をくれた。
傘をさして帰ったら、途中で雨があがった。

リュックサックのなかに丁寧に入れた本が、重たい。