文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/08/15(水)

夕飯のあとに台所でお皿を洗っていたら後ろから子供たちの歌声が聴こえてきた。長男が気に入っているアニメの歌らしいのだけど、わたしにはそのアニメが何なのかわからない。ずっとうたっているので、もうすぐ2歳の次男も覚えたらしくて一緒に歌らしきものをうたっている。彼はまわりの子に比べて言葉が遅いみたいで、言葉らしい言葉をほとんど言わない。でも歌はうたえるのだなと思う。
夜、家の中でふたりがうたっているのを聞いていると、自分はこの子たちをなんとか守れているのだという気がしてきた。ごはんを食べさせ、服を着させ、夜には寝かしつけ、家のドアに鍵をかけ、安全と思われる場所で彼らを育てている。
きょう、昼間に友達に会ったら、子供を連れているところを初めて見た彼女が
「大きい子供が本当にいるんだねえ」
と言った。本当に、いる。わたしは彼らに日々手を焼きながらも、なんとかして彼らを育てる義務をまっとうしようとしている。
家族写真を撮ってくれるというのでiPhoneを渡したら、彼女がわたしの短い爪を見て、
「赤ちゃんみたいな爪」
と言った。


子供を寝かしつけてから小説の改稿をしようとしたのだが、今まさにこれを書いている時点で、次男は一時間ほど夜泣きをしていて、どうにもこうにも泣き止まない。こうなると時間の問題なので、リビングで書くのを諦め、パソコンをベッドに持ってきてこれを書いている。次男は時折泣き止んでは機嫌よく笑ったり、そうかと思えばぐずついて大声で泣き叫んだりする。彼にはわたしが小説を書きたがっていようがいまいが、そんなことは関係ない。うまく眠れなくて、いやでいやでしかたないのだ。


きょうは32歳最後の日だ。明日で33になる。

32歳には本を一冊出した。長編小説を書くかたわら、短編小説を3つ書いた。まだその長編小説は仕上がっていない。

わたしの誕生日にはよく雨が降る。明日もそうなのだろうか。

次男が寝息をたてはじめた。これから小説を書き、それから眠ろうと思う。