文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/08/20(月)

午前中は小説の改稿。途中で編集者から電話が来る。出て話し始めると、「元気がないね」と言われる。
「元気がないというのは少し違うな。三日間ほど誰とも話さないと、本当に声が出ないときってあるよね」
「そうだね」
三日間ほど誰とも話さなかったことなんて多分ないし、今も別にそういうわけではないけれど、そういう声に聞こえたようだ。
「なんだか、ナイーブでデリケートで、へたな言葉がかけられない緊張感がある」
どきどきするね、と編集者が言うので、そうだね、と答えた。確かに、緊張感はものすごくあった。なんの変哲もない、いつもの電話なのに。緊張感を漲らせているのは、わたしなのだ。
電話が終わるくらいに編集者が、
「ようやくいつもの声に戻ってきた」
と言った。ようこそ、こっちの世界へ、と。