文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/09/29(土)

海辺の街に引っ越す夢を見た。
わたしはその街で、「ここはどこですか?」と尋ね続けている。
みんな薄ら笑って答えてくれない。そんなこと答えなくてもわかりきっているだろうと言うのだ。ここが何県の、何町であるかは、言わなくたってわかるだろうと。

わたしは怖くなり、「京都に帰りたい」と願う。
あの鴨川が見たい、あの橋を渡りたい、あのパン屋さんに行きたいと。
名前のないふわふわとした街には商店街があるが、どの店もふわふわしていて、わたしの体に馴染まない。

京都に帰りたいと願いながらも、そのときにはすでに京都は遠いものになっている。
自分には居場所がないことを突きつけられるみたいで、そのことがとても悲しかった。

目が覚めて、夢であったことに心からほっとした。

とりあえずわたしは京都に10年住んでいて、ここが居場所みたいな顔を続けている。
年月で肌を上塗りするみたいに、わたしはここが居場所なのだという顔をしている。