文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/10/05(金)

プールに週に2回の頻度で通うようにしている。

ご年配の方が多く、明らかにわたしが最年少だ。みんな仲良さそうに話しており、ウォーキングコースはしゃべり場と化しているのだが、わたしは黙々と歩き続ける。頭の中で歌をうたってみたりしながら。平気そうな顔をして。なんだか学校に似ていて、少し居心地が悪い。目線をどこにやればいいのかわからない。

泳いでいると自分の頭のなかが言葉だらけなことに気づく。肩はがちがち、呼吸は浅く、少しの水の揺れでわたしのからだもぶれる。後ろに人がいるのではないか、前の人に追いついてしまうのではないか、こわくて、苦しくなる。
しんどい、と思う。こんなのはしんどい。悲しくなって涙が出そうになった。

とても首が痛いなと思った。水に反発しているんだろうか。
それで、わたしは首を丸める形で、泳いでみた。自分のへそのほうを見る感じだ。すると、頭がぶわりと水を勢いよく切り裂くのがわかった。進むのだ、前へ速く。

驚いた。嬉しかった。
そして「ああ、わかった」と思った。前も後ろも見なくていいんだと。
自分のへそを見ればいい。そこがわたしのいるところだと。

泳ぎきって水面から顔をあげたとき、
「気持ちいい」
と自然に声が出た。

プールは大事なことを教えてくれる。