文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/11/04(日)

舞台芸術集団VOGAの公演『直観と情熱』を観に行ってきた。これまでVOGAの作品はおろか、舞台芸術というものをほとんど観たことがなかったので、光と音の演出効果がこんなにも大きいものなんだなということに驚いた。光の当て方が変わるだけで、場所ががらりと変わるのがわかる。
脚本家の近藤和見さんという方には一度インタビューさせていただいて、その後お酒を飲みに行ったのだが、彼の頭の中にはこんな世界が格納されていたんだなと思うと、そらおそろしいような気持ちになった。
舞台は抽象的だったけれど肉感的で、終わったあとにぼうっと道を歩いていたら、ふと「ああ、さっきのあのシーンはこういうことだったのか」と、さきほどの小劇場での世界と自分のなかのシナプスが繋がって、心が小さく震えることが数回あった。

千林大宮という駅には初めて来たが、駅近くに「本」と書かれた看板があったので近寄ってみると古本屋さんだった。外に出されている段ボールを覗き込むと、岸本佐知子さんの随筆が一番上に乗ってあり、裏表紙を開くと鉛筆で「150」と書かれていたので買った。家から持ってきた本を、電車の中で読み終わってしまったのだ。おじさんは丁寧に白い紙袋で包んでくれた。