文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/11/09(金)-10(土)

きのうから今日にかけ長野の東御市に出張に行っていた。東京駅から車で3時間ほど。ドライブをしていると、人生って複数あるんだなと思う。窓の外するすると変わっていく景色を見ながら、「ここに住んだ自分」について考える。「ここに住んだ自分」の数だけ人生があるような気がする。『プリンセスメゾン』という大好きな漫画があるが、その中に数年単位でマンションを売り、また違うマンションを買う、そのたび住む場所をどんどん変えていくデザイナーの女性が描かれている回がある。わたしはその人を見ながら、自分もこのように生きていくことが今後あるだろうかと考える。その生き方は誰かを傷つけるように思う。だけど、誰かを傷つけることがそんなにいけないことなのかどうか、わからない。ひとりの自由はひとりのからだにしか宿らない。

ペンションのツインルームに泊まったのだが、空いているベッドに誰かが寝ているような気がしてなかなか寝付けなかった。深夜3時半ごろまで起きていたように思う。妄想をたくましくし、それに呑まれる自分を恨む。いつか本当に呑まれ切るかもしれない。ときどき、呑まれきったほうが楽なような気持ちにもなる。そんな自分は自由から遠く離れているように思う。

2時間半ほどしか眠れず、夢もたくさん見たので、夜が地続きになっているような気がした。犬の鳴き声で目が覚め、窓の外を見る。犬が二匹こちらを見て尻尾を振った。朝焼けは雲に覆われ、やわらかいグレーに光が多く含まれていた。