文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/11/16(金)

『経営者の孤独』の原稿を書いている。この原稿に限らないのだけど、いつも、原稿を書きあげるまで不安でたまらない。「本当に書けるのかな」と思う。連載をいくつか持っているが、そのどれもで毎回思う。前まで書けていてもそれは全然自信にならない。前はできたじゃないか、が、文章を書く行為においてはまったく有効ではない。

じゃあどうすればいいのかというと、それはもう、「好きに書いたらいい」と自分に言い聞かせることだ。「書くことを楽しんだらいい」「自由に書いたらいい」その結果書き上がるものは、少なくとも自分は喜ぶ文章だし、そもそもわたしは自分が喜ぶ文章しか書きたくない。というか、書けない。そんなことしたら手が止まる。自分が喜ばない文章なんて、本当の意味で誰にも響かないことが書いているそばからわかるから、不毛すぎてそれ以上手が動かなくなるのだ。

そう言い聞かせていると、不思議と書けそうな気がしてくる。手がうずうずしてくる。
ばかだなあ、自由になるために書き始めたのに。そういう声が自分のなかでしてきて、わたしはほんとだねと返す。

いつでも初めての気持ちで書きたい。それは大変なことだけど、とてもわくわくすることだ。

今から小説を改稿して、寝る。自由な場所があるというのは、本当に幸福なことで、わたしはそれを大事にしたい。それは自分を大事にするということだから。