文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/12/03(月)

夜、お風呂から上がりパジャマに着替え、録画していたM1グランプリを観た。この有名なテレビ番組を、おそらくわたしは初めてちゃんと観た。だからこんなに審査員の方が真面目に真剣にコメントをすることに驚いてしまった。すごい緊張感で、観ているとつい力が入った。

立川志らくさんのコメントがどれも興味深かった。

「おもしろいの前にうまいなって思ってしまう。うまいなの前に来る魅力が欲しい。こんなの見たことないというのが見たい」

そんなことをずっと言っていた。

「こんなの読んだことないというのが読んでみたい」

そう言われたからと言って、そこで「よし、そういう感じのを書いてみよう」と思って書いたとしても、「そういう感じのもの」にしかならない。それはちがう。そもそも、わたしだって読みたいし書きたいよそんなの、と、立川志らくさんにぼやいてしまう。立川志らくさんはお笑いの話をしているのに。そして、狙って書けるものではないし、狙って書くものでもないのだろう、と、テレビ番組を見つめながら思う。

たぶん、そこにあるのはすこしの狂気。

狂おう狂おうと思うのでもない、自然な狂気。

それをわたしたちは、求めているのかな。

観ながら、書くこととお笑いを重ねていた。こんなふうに切れ味を保つにはどうしたらいいんだろう。いつまでも新鮮な、湧き起こるような気持ちで書いていたい。

終わったときには運動したあとのような、快い疲れがあった。