文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/12/15(土)

なんとなく年末が苦手だ。年末を楽しむのにはなんだか胆力とかがいるような気がする。胆力のないわたしはと言えば、一斉メールで誘われた忘年会のパーティでどうも居場所がないような気持ちで、こそこそふらふら、ビールをちびちび飲んで、なんとかやり過ごすみたいな、そんな感じ。少しずつ街が浮き足だち、クリスマスソングが流れ初めているが、クリスマスプレゼントって自分が用意してもクリスマスプレゼントに見えないのってなぜなんだろうな。クリスマスプレゼントを模したもの、みたいな気がする。
そんなことを思いながら喫茶店で原稿を書いていたら、隣の席でおばさまふたりがチーズケーキとコーヒーを頼み、それらが届くのも待たずにすごい勢いで話し始めた。近所の老夫婦の仲違いの原因から始まり、あれは奥さんが旦那さんを見下げとるからや残念やけど、わたしはね子供に老後を頼まへんそれはむかしっから決めとる、着物は無地でええ、どこに着ていっても恥ずかしくないから無地でええ、そんな話を眉間にしわ寄せお互いに熱心にしていた。
なんだかそれを聞いていたら、自分が年末を居心地悪く過ごしているのがばかばかしくなってくる。 年末もクリスマスもプレゼントもケーキも忘年会も、全部犬が見ている夢だというような気がしてくる。 なんとなく勇気づけられて店を出る。