文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/02/17(日)

(500)日のサマー』を観た。ボーイミーツガール。ふたりが歩いている姿を観ながら、なぜ人は恋をしてしまうのだろうと思う。恋というのは凶暴だし残酷だ。人のかたちを容易に変形してしまう。くっきりと生々しい傷を心につけて、軽々と去っていく。この世に運命はなく、偶然のみ存在するとトムは言う。わたしは偶然には二種類あると思う。偶然という名の偶然と、運命という名の偶然。名付けるのは恋人たち(そのどちらかではいけなくて、ふたりとも)だ。

映画を観たあとには、心に細かい傷がついたような気持ちになる。流した涙が、そこに染み込んでいくような。それは肌の角質を軽石でこすり落とし、クリームで保湿する感じと似ている。心がなめらかに、しっとりとする感覚。