文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/03/01(金)

夜は何度も起きてしまいあまりよく眠れなかった。心が少しざわざわして、足がふわふわしている感じ。身近な人の「死」という、変化が起こったからだと思う。「死」ってなんだろう。頭ではわかっているのに、まだちゃんとわかっていないんだなと思う。

ふと彼が亡くなったことを忘れている瞬間があり、こどもたちとしょうもないことで笑ったりする。

そう言えば夜、長男の通う小学校の先生から電話があった。彼が作品展用の絵画に戦争の絵を描いて、おそろしい絵になってしまったのだという。戦車を描き、ミサイルを描き、赤い雨のようなものを描いたのだと。

「そうですか」
とわたしは答える。「それで……」
「それで、描き直してもらったんです」
と先生は言う。
描き直してできた絵は恐竜だ、と言っていた。戦争はだめで、恐竜はいいらしい。テーマを聞くと「のってみたいないきたいな」だという。

先生は「何かあったのかと心配で」と言って、なんだかわたしまで心配になった。
だけど彼は戦争反対を唱える平和主義者なのだ。わたしよりよっぽど和を尊ぶ。

長男は、恥ずかしそうな顔をしていた。
戦車はかっこいい、ミサイルもかっこいい、だけど、人を傷つけてはいけないと、彼はちゃんとわかっている。

それでいいと思うのだけど。