文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/04/22(火)

大型連休が近づいてきている。連休というものが苦手なので、少し暗い気持ちだ。仕事をしたい。みんなにも仕事をしていてほしい。それはワーカホリックというのではなく、ただ「いつも通りでいたいし、いてほしい」ということの表れなのだ。連休のほうが連帯感を必要とされるような気持ちになるのはなぜなんだろう。どこかへ行かなくてはいけないような、何かをしなくてはいけないような、楽しい気持ちで過ごさなくてはいけないような気がして、結果的に寂しい気持ちになる。子供の頃、親に休みがなかったからかもしれない。どこにも行けない子供だったわたしは、早く学校が始まるといいと思っていた。行くべき場所があるというのは、安心することだ。それはもしかしたら所属欲求かもしれない。すでに自分がつくった家族がいて、家庭があるのに、わたしはちゃんと所属しているはずなのに、所属できていない寂しさを感じるなんて、妙な話だなと思う。多分もう、この穴は埋まらないのだろう。諦めよう。大型連休なんて、放っておけばすぐ終わるだろう。

きのうは小説の改稿をして、今日は『経営者の孤独』の改稿をしている。
わたしはこれらの文章を前に、ひとりぼっちだなと思う。みんなきちんとひとりぼっちだ。わたしも、彼も、彼女も。それはさきに書いた所属欲求よりも、ずっと原始的な欲求が満たされるような気分で、だから非常に安らかだ。

わたしは確実に自分の書いたものに救われている。過去の自分が今の自分を癒し、きっと未来の自分をつくるんだろう。
ちゃんと傷ついてきてよかった。ちゃんと寂しがってきてよかった。

「書く」ことは生きるうえで起きることをすべて価値づけてくれる。残酷なまでに平等に。そしてだからこそ、とても優しい。