文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/05/15(水)

朝からなんだか元気がなく、テレビ電話での打ち合わせをひとつ済ませてから、iPhoneは置いて財布だけ持って、鴨川を散歩した。川の水に日光が反射してきらきらしていて、五月の緑はどこまでも鮮やかに続いている。
その中を歩きながら、いろいろな言葉が頭に思いつくままにしていたら、ふと、10年位前にここで、「ここに帰ってくるのが夢だった」と言ったのを思い出した。大学を卒業して上京して、2年でギブアップして帰ってきたわたしは、ずっとずっと鴨川を散歩するのが夢だったのだ。観光でもなく、帰省でもなく、住んでいる人間としてまた鴨川を散歩するのがあの頃のわたしの夢だった。

あの頃のわたしの夢のなかに今のわたしは立っていて、なんだかしょんぼりしている。贅沢なもんだよと昔の自分が言っているみたいで、自分はひとりだけどひとりじゃないような気がした。いろいろなわたしが存在していて、それらは全部つながっている。

帰ったらちょっと復活していた。