文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/07/14(日)

午後、新卒で入った会社の同期が京都に来たというのでかもがわカフェでお茶をする。わたしはもともとある実用書の出版社に勤めていて、お互いに営業をずっとしていたのだけど、彼は今は制作事業部にいるのだという。仕事が好きだしおもしろいと言っていた。よかった。

隣には彼が最近結婚した女性が座っていた。想像していたのはセミロングのおとなしそうな、にこにこした笑顔がかわいい女の子だったが、合っていたのは最後のひとつだけだった。はっきりと言葉を話す、気持ちの良い女性だった。

同期の彼は、よく「土門に憧れている」と言っていた。やりたいことが明確にあって、それに向かって動いていて、本当にすごいと。自分は何がしたいのかよくわからないし、わかってしまうのが怖いのかもしれない、と言っていた。わたしはわからないままで死ぬほうが怖い、ということを言ったように思う。彼は覚えているかどうかわからないけれど。「変わったね」と言うので、「それは良いほうに? 悪いほうに?」と尋ねたら「良いほうに決まってんじゃん」と笑った。「悪いほうに変わったら、そんなことわざわざ口にしない」そうだね、と返す。君はそういう礼儀正しいところ変わらないねと思いながら。

でもそんな彼が、今はきっと何がしたいのかわかっていて、誰と一緒にいたいのかわかっていて、本当によかったなと思った。彼の奥さんと、「この人って、すごく素直ですよね」「そうそう、びっくりするくらい純粋なんです」「純粋培養って感じ。彼を見ると性善説を信じてもいいかもしれないって思います」みたいな話をした。彼は恥ずかしそうに笑っていた。