文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/08/15(木)

33歳最後の日。この1年振り返ってみれば、一回死んでもう一度生まれ変わったような感じだった。ボロボロだったのは3月と4月。こんな思いをしながら生きていくのはもう無理だと何度も思ったけれど、底まで落ちる前にいろいろな人に掬われた。『経営者の孤独。』という本は、そんな自分の経緯を書いたような本だと思う。いつか歳をとったときに読み返して、ああ、あの頃は歯をくいしばるようにして生きていたなあと思うのかもしれない。
このあいだ「土門さんが一番孤独を感じた時期はいつですか?」と聞かれ、「今です」と答えた。掬って救ってくれる人がこんなにもいて、それでも生きていくのがしんどいというのは、もう、そういうことなのだ。穴がぼっかりと空いている。そのことがくっきりとわかってしまった。それでもわたしは死ねない。死のうとする前に必ず掬われるからだ。だから孤立はしていない。孤立していないからこそ、孤独が際立つ。穴がぼっかりと空いたまま、掬われたさきの地に足をつけて立っている気分。そしてそこで、空を見上げている気分。崖のしたは黒々としているけれど、空は青々としている。そういうことに気づいた気分。穴が空いたままの、不恰好な、あわれなかたちで。
だから、今が一番、孤独を感じる。でもそれは全然、悪いものじゃない。泣きそうになるけれど、きっと幸せなんだと思う。
33年ものあいだ、よく生きてきたな。よくがんばりました。