文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/03/23(土)

写真家の吉田さんと寺町通りの進々堂で会う。自転車で行ったら、お店の前でカメラを構えている人がいて、すぐに「吉田さんだ」とわかった。手を振ると、手を振り返してくれた。なんだかぼんやりした顔だったのでどうしたのか尋ねると、花粉症と二日酔いだという。「京都は花粉が多いんですかね」吉田さんは千葉に住んでいる。今回は、仕事で京都に来たらしい。ぼんやりとした顔で、おかわり自由のコーヒーを3杯飲んでいた。

お茶をしながら、写真についての話をいろいろした。吉田さんは、僕は世界を肯定しているから世界をいじりたくないんです、というようなことを言っていた。「光」「響」「詩」についても話した。忘れないように、わたしは何度かメモをとった。


「土門さん、本も出るし、ますます忙しいでしょう」
と言われたので、
「大変ではありますけど、でもわたしは、言葉を通すだけの通路みたいなものなので」
と答えたら、すぐに伝わったようだった。

「これまでたくさんあがいたんでしょうね」
「多分またあがきます」
「そういうのも全部、引き受ける覚悟が決まっているんだなあ」

そういう生き方はすばらしいですよ、と言われた。
そう言ってもらえて、うれしかった。

茶店を出たとき、吉田さんは赤く咲く椿を撮っていた。
彼の撮る京都はどんな街なのか、見てみたいなと思った。