文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/07/24(水)

広島でスナックをやっている母から突然LINEが来た。そっけない白い壁に、わたしの本『経営者の孤独。』が立てかけられた写真。「店に飾っとるよ」と言う。

たまに地元に帰ったとき、お客さんによく言われるのは、「あんたのお母さんは、あんたの自慢ばっかりしようる」ということ。「大学もちゃあんと出て、仕事しながら子供も育てて、がんばりやでほんまにええ子じゃと」
母は、わたしの本をたくさん店で売ってくれる。お客さんは、彼女がずっとわたしを育てるために働いてきたのを知っているから、いっぱい買ってくれる。ひとりで10冊買ってくれたお客さんもいた。わたしが小学生の頃から常連の、社長さんだ。いろんな人に配ってくれるんだと言う。本当にありがたい。反発して、いつも不機嫌な顔をしていた娘だったのに。

母が、もっと自慢できたらいいなと思う。初めて来たお客さんにも、「これはうちの娘が出したんよ」と言えたらいい。異国で、ひとりで、お金もコネもなくずっと頑張ってきた母が、少しでも多く「ママ、すごいね」「がんばったね」って言われるように。わたしじゃなく、母が褒められたらいい。親孝行だなんて綺麗事は言えないけれど、心からそう思う。