文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2018/06/14(木)

書いている最中、小説ってなんなんだろう、といつも思う。
今自分は何をしているんだ? 何がどうなったらゴールなんだ?
それはまったくわからない。書いたものが、徐々に「小説」のようなものになっていく。そしてそれを、「小説」へと近づけるために頭をひねり、手を動かし、自分のなかに潜っていく。

2章の第2稿を書き上げた。
「書けた?」
と、わたしは原稿を最後まで書き上げるとまずそう尋ねる。誰にでもなく。ひとりごとだ。
「いや、わからない。でもとにかく、書いた」
そしてそう答える。誰にでもなく。ひとりごとなのだ、全部。

そして頭から読み通す。最後まであくびせずに読み通すことができると、嬉しい。少なくとも、あくびは出なかった。そして、ふと立ち止まるような文章があるとなお嬉しい。書いた自分にですらちょっとした衝撃を与える言葉がここにあるのだと思って。

編集者に送ると、すぐに彼は読んでくれて電話をくれた。彼はいつもそうだ。読めないときには事情をきちんと伝えてくれる。絶対に、放っておくことをしない。彼の敬意は、わたしの背筋を伸ばさせる。

ああ、次はもっとよいものを書こう。いつもそう思う。