文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/08/02(金)

「明日死ぬかもしれない」と考えると、目の前の光景が光を帯びてくる。すぎる時間は止めておくことができない。湧き上がる愛情はすぐに消えていく。だからどうぞ惜しみなく。「明日死ぬかもしれない」はすべての人に当てはまる言葉だ。あの人にもあの娘にも…

2019/08/01(木)

自由になるために文章を書いているのに、たまに文章を書くことで不自由になっているときがある。そういう自分を認めたくなくて、不自由を指摘されると逃げ隠れてしまいたくなるのだ。8月のはじめは、そういう日でした。でも、不自由を自覚した瞬間から、自由…

2019/07/31(水)

1日自宅で執筆作業。新しい小説『あかるい部屋』の第1話を書いて、編集者に送った。あまり考え込まない。とにかく見えるものを書く。書く、書く、書く。そうしていれば見えなかったものが見えてくる。だから書くしかない、書くことでしか進めない。疲れたら…

2019/07/30(火)

京都新聞の夕刊に『経営者の孤独。』に関する取材記事が載った。3部買った。母が喜んでいた。注目してくれて、世に広げようとしてくれる方がいることの、なんとありがたいことか。何もなかったところから始まって、さまざまな方に支えられて形にできて、それ…

2019/07/29(月)

昨日からAmazonプライムビデオがテレビで観られるようになった。チャンネルを回遊していると観たいものがいくつもある。夏休み中の息子が喜び勇んで観ている。今日は『ルドルフとイッパイアッテナ』を観ていた。わたしは洗濯物を畳みながら『美少女戦士セー…

2019/07/28(日)

疲労感がすごくてイライラしている。ソファでゴロゴロしていたのだけど、それで何か良いことがあるようにも事態が良くなるようにも思えないので、ずっとやりたかった靴箱とその隣にある玄関収納箱の中身を徹底的に片付けることにした。ファミコンやiPhoneの…

2019/07/27(土)

義父の初盆のため、大阪まで行く。みんなでお昼ご飯を食べ、その後自宅にて法要。お坊さんを待つ間、義妹と本や映画の話をした。彼女はたくさん本を読んで映画を観ている女の子で、話していてとてもおもしろい。多分わたしとは通ってきた作品の系統が違うの…

2019/07/26(金)

簡単に気分の波に呑み込まれる。昼間にプールに行ったのに、どうもだめだった。簡単には攻略できないものだなと思う。夜、打ち合わせがあった。初めて会ったクライアントさんが、「明日台風が来るらしいですよ」と言っていた。ああ、それでか、と合点がいく…

2019/07/25(木)

四条通りのジュンク堂に行ったら、二階に『経営者の孤独。』が置いてあった。「あ!」と思い、ご担当者さんにご挨拶して、写真を撮らせていただく。挨拶をしているとき、営業時代のことを思い出していて緊張した。注文をもらうわけじゃないんだ、ただ声をか…

2019/07/24(水)

広島でスナックをやっている母から突然LINEが来た。そっけない白い壁に、わたしの本『経営者の孤独。』が立てかけられた写真。「店に飾っとるよ」と言う。たまに地元に帰ったとき、お客さんによく言われるのは、「あんたのお母さんは、あんたの自慢ばっかり…

2019/07/23(火)

編集者と雑談をする。SNSとは何なのだろうか、どう捉えたら良いのだろうか、という話をひとしきりしたら、気が済んだ。twitterもfacebookもinstagramも愛すべきツールだ。それをどう使うかは、人間次第。「悪口を書かない」「酔っ払ったら書き込まない」「気…

2019/07/22(月)

数年ぶりに、自分のために花を買った。花屋さんに入り、「自宅用なんですけど」とおどおどしながら話す。「はい」と店員さんがショーウィンドウの前に立つが、花屋さんって値段が書いていないことが多くて、どの花が一輪いくらなのかよくわからない。時価な…

2019/07/21(日)

内藤礼の奥(という土地があるらしい)への旅を記録した『OKU 地上はどんなところだったか』を読む。開いてすぐに涙が溢れた。自分がこの世に感じる切なさが、どういう理由から来るのか、少しだけわかった気がした。(完璧な自然と、決して交われない肉体。…

2019/07/20(土)

また夢をよく見るようになった。体育館に首のない遺体が男女男女男女の順で並んでいる。駐車場で連れの男性が集団リンチに遭い、二人分の遺体がつまれた車に乗って捨ててこいと脅迫される。大量の魚をさばいていると腹の中から寄生虫が出てくる。無理やり乗…

2019/07/19(金)

夜、友達とお酒を飲む。いろいろな話をした。仕事の話、子供の話、名付けの話、性の話、創作の話、そしてまた仕事の話。ステークホルダーという言葉がある。利害関係者、というやつ。そういうのがわたしたちの間にはなく、だからいろんな話ができる。利害関…

2019/07/18(木)

きのうよりは幾分か気分がましになったが、まだやっぱり重い。腕にじんましんができている。夕方、ふたつ面談があった。小学校と、学童。小学校の先生に、長男の欠点をいくつも挙げられ、彼女にはまったく悪気はないのだと思うが、不意に泣き出しそうになっ…

2019/07/17(水)

朝から気分の落ち込みがひどく、鬱々としていた。何もないのに涙が出る。不満もないし、不都合もない。ただ、外部からの刺激に非常に敏感になっている。心配した編集者が電話をくれて雑談をした。低いテンションのまま話す。やっぱり、ときどき涙が訳もなく…

2019/07/16(火)

涙が不意にこみ上げることがある。なんだか切ない、寂しいような気持ちになって。きれいなものや無慈悲なものに細かく傷をつけられるようで辛い。よく生きていられるな、という気持ちになる。少しずつ落下している感覚。

2019/07/15(月・祝)

子供が生まれてから祇園祭には行っていない。今年もきっと行かない。人が多いし暑いからだ。息子たちは一度も祇園祭に行ったことがない。少し後ろめたい気もするが、京都生まれ京都育ちで祇園祭に行ったことがないというのもおもしろいかもしれないなと思っ…

2019/07/14(日)

午後、新卒で入った会社の同期が京都に来たというのでかもがわカフェでお茶をする。わたしはもともとある実用書の出版社に勤めていて、お互いに営業をずっとしていたのだけど、彼は今は制作事業部にいるのだという。仕事が好きだしおもしろいと言っていた。…

2019/07/13(土)

久しぶりに大学時代からの友人に会った。彼女の家には大学生のときに泊まったり遊びに行ったりしたことがある。10年ぶりくらいに訪れた彼女の家は、やっぱりきれいに片付けられていた。彼女はわたしが会ったなかでたぶんいちばんちゃんとしている女の子だ。…

2019/07/12(金)

ずっと家で原稿を書いているので、外に出るのが億劫になりがちだ。だからお昼ご飯をいつもどうしようか迷っていて、作るのも億劫、外に出るのも億劫、もう抜いてしまっていいかなあとも思うんだけど、心も体も老けていくような気がして良くないなと思う。そ…

2019/07/11(木)

『経営者の孤独。』の発売日。午前中から昼にかけて、新しい仕事のインタビューだった。お蕎麦屋さんで、ご馳走になる。緊張していたからか、すぐにお腹を壊した。お腹を壊さないようにあったかいお蕎麦を頼んだのに。何を食べるかは、あまり関係ないのかも…

2019/07/10(水)

文章が書けなくなるときがある。書いても書いても、全然つまらない。こういうのが書きたいんじゃないのに。でも、締め切りは迫ってくる。なんだか泣けてくる。「もういいや」と諦められたらまだ楽なのに、それもできない。こんなこと、これからも何度もある…

2019/07/09(火)

写真は何を撮るかではなくどう撮るかである。と言ったのは、誰だったろうか。その言葉のとおりに世の中を見ていると、確かに「何を」撮ったり書いたり描いたりしているものは多いけれど、「どう」を感じさせるものは少ないのかもしれない。多分そっちのほう…

2019/07/08(月)

出張から帰ってくると(と言ってもきのうは日帰りだったけれど)掃除をする。家を空けると家が荒れる。埃がたまったり、床がざらざらしたり、洗面所に髪の毛がへばりついていたり、ゴミ箱にゴミが溜まっていたり。1日でよくもこんなに、と驚くほどに。わたし…

2019/07/07(日)

東京へ日帰りで向かう。小説「戦争と五人の女」の装幀作業を柳下さんと太郎くんがしていて、そこに合流する。東京は雨が降っていて寒かった。 もともとは何もなかったのだよな、と思う。わたしの人生には、一緒に小説をつくってくれる編集者もデザイナーも、…

2019/07/06(土)

写真の教室に通い始めた。 「撮影とは、影を撮る、と書きます」

2019/07/05(金)

もうすぐ七夕だ。次男の保育園で短冊をもらった。長男は「ノーベル賞をとれますように」という願い事を書いておいてねと言って、学校に行ってしまった。まだ話せない次男のかわりに「みんな元気に楽しく過ごせますように」と書く。それがいちばん。たとえノ…

2019/07/04(金)

有栖川駅へ取材へ行く。毎月、嵐電沿線の各駅の街をまわってエッセイを書くこの連載を始めてから、月に一度は必ず見知らぬ土地に身を置くことになった。ここに住んだらどんな気分だろうということを毎回想像する。自分は本当に容量が少ない人間だと思う。体…