文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/02/02(土)

昨年の夏からプールに通っている。「週に1度は泳ぐ」と決めて、毎週いずれかの曜日に泳ぎに行っている。一度だけ行けなかったことがあるが(年末でめちゃくちゃ忙しかった)、あとは無理やりでも時間をつくってちゃんと行っている。

わたしはもともとかなづちなのだが、通ううちにクロールで続けて泳げるようになり、先週には平泳ぎができるようになった。いや正しく言うと、先週初めて平泳ぎをやってみた。泳いでみたらできたのだ。とてもスピードが遅く、おそらくとてもみっともないフォームだけど、ちゃんと25m泳ぐことができた。そのことがとても嬉しかった。

「できない」のではなく「やらない」のだなと思った。
周りの人に無様なフォームを見られたら恥ずかしいだの、後ろから泳いできている人に迷惑をかけたらいけないだの、いろいろな理由をつけて「やらない」でいた。
でもじゃあなんで泳いでみる気になったのかというと、クロールばっかり泳ぐ自分に飽きてきたからなのだった。

自分に飽きるということほど、辛いことはないように思う。
なぜなら自分からは離れることはできない。自分がおもしろくないと、どう転んだっておもしろくないままだ。「ああ、なんだかつまらないな」そう思ったのは、水泳そのものに対してではもちろんなく、変化のない自分に対してなのだった。

平泳ぎで向かいの壁にタッチしたときは、本当に嬉しかった。
「できた」声に出さないでそう言った。クロールでは使わない、腕の外側の筋肉が、ぴくぴく動いてつりそうだった。その新しい痛みに、わたしはなんだか笑ってしまった。