文鳥社の日記

京都の出版レーベル・文鳥社の日記です。

2019/05/26(日)

お酒を4杯以上飲んだ次の日は落ち込んでいることが多い。言わなくていいことを言ってしまったのではないかと思うからだ。でも、大事な話しと言わなくていいことというのは円が重なる部分が多くて、避けるに避けられない気がする。じゃあどうすればいいのかというと、相手を選び、選んだ相手を信用すればいいんだろう。それならゆうべのあれはよかったんだ、と思う。

本を売っていて思うのは、知ってもらえばそれで十分、ということだ。それは「買ってもらえなくても知ってもらえたらそれでいい」ということではなく、「知ってもらえたら必ずいつか買ってもらえる」ということだ。そのときに買ってもらえなくても、『100年後あなたもわたしもいない日に』という本をどこかで見知ったという経験は、必ずその人の記憶に残り、2度目3度目に会ったときにその人の心を動かす。だから、手にとって立ち読みしてもらうだけで十分だ。
きのうは、「本屋さんで見かけて、いいなって思ってたんです」と何度言われたことだろう。2度目に出会ったこの場所で、彼女たちはわたしたちの本を買っていった。あるいは、3度目の出会いに賭けて去っていった。これでいいと思う。記憶に小さなとげのように刺さること。